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南部曲り家から民話を贈る [古民家・人形]

昨夜からの雪が降り積もり、今朝起きてみれば、30cmの降雪が・・・。

積雪は、50cmを超えたかも、12月としては最近にないほどの雪でした。

各地で雪の被害が出ているようですが、年末は穏やかな気候であってほしいと

願っております。

 

では、前回に引き続き、民話「オシラサマ」のはじまりはじまり~~~~い!!

 

 尚、以下の話は「遠野むかしばなし 鈴木サツ自選50話」を参照とし、抜粋し

たもので、文中の方言などは一部編集したものとなります。(原本どおりではあ

りません)

 

ささ、みんな周りさあずまって、ねまって(座って)けろ。

 

昔、あったずもな。

あるどこに、父(とど)と母(がが)ど、めんけぇ娘っこどあったずものな。 

そごの家(え)に、立派な男の馬っこあったずもな。

その娘っこぁ、年頃(とすごろ)になってぇば、ますます美しぐなったずが、いっつ

も馬屋(まや)の木戸さ行っておっかがって、馬ど話したり笑ったりしていだずも

な。  父ぁそれを見て、あの娘っこぁなにすて馬ど話したり笑ったりしてるべど

思って、ある時(どぎ)聞いてみだずもな。

そうしてぇば、その娘っこ「そんだって、おらぁ、馬と夫婦になるもの」って言った

ずもな。  そうしてぇば、その父ぁごせやいで(腹をたてて)、「はらあんべわり

(不愉快だ)人間と畜生が夫婦になるなんずう、ばがなごどぁ、あるもんでねぇ、

おめもおめだが、馬も馬だ」ずしま(と言ってすぐ)、馬ぁ引っ張りだすて、裏の

畑の桑の木さぁ、馬ぁずるずるど引っ張り上げだずもな。

 

そんで、鉈だの鎌持ってって、その馬の皮、剥ぎ始めだずもな。

娘っこそれ見て「とどぉ、むごいやな。やめでけろ」ってオイオイ泣いだずども、

とどぁごせやけでだがら、聞がながったど。  そすて馬の皮半分ばがりはいで

ぇば、馬ぁ、はあ、死んでしまったずもな。

そすて、今少しではぎ上げっどぎ、馬の皮、フワッーと飛んできて、そごで泣い

でだ娘、スポッと包んで、天さ上ってしまったずもな。

 

さあ、がが、それ見て、オイオイ、オイオイって泣ぐ。 とども、さあ、すぐったご

ど(大変なこと)したど思ったずもな。  馬ば目に会わせべど思ったども、娘っ

こまでこんなになるべど、夢にも思わながったど。

とどど、がが、三日も四日も泣ぎ明がすたずもな。

そしてぇば、ある晩、娘ぁ夢枕に立って、「おれの親不孝、なんじょにが(どうか)

許してけろ」「おれぁ、悪い星のもどさ生まれだために、親孝行もせぇねぇで天さ

来てしまったがら、許すてけろ」「その代わり、来年の3月14日の朝間、土間の

臼のなが、見でけろ」「そせば、臼のながさ、ぺぇっこな虫ぁいっぺぇいっから、

馬吊るして殺した桑の木の葉っぱ取って来て、食(か)せでけろ」

「そりゃ、トドッコずう虫で、30日もあずがうと(養うと)繭っこになっから、繭っこ

になったらいど(糸)取って、機を織って、その織物売って、とどどがが、暮らし

立ででけろ」ずう夢見だずもな。

 

そすて、二人すて3月14日待ったずもな。 待って待って待っていでぇば、その

日がきたずもな。 朝間、早ぐ起きてがが、なにとりおぎ(とりあえず)土間の臼

の中見だずもな。  そしてぇば、馬の頭っこみでぇな、ぺぇっこな虫ぁ、グジャ

グジャど、いっぺぇいだずもな。

娘っこにおへられでる(教えられている)すけ、馬吊るして殺した桑の木の葉っ

ぱ、取って来て食(か)せだずもな。

 

 30日あずがってえば、大きぐなって、繭っこになったずもな。

がが、糸取って、機織って、織物売って、暮らしたでだんだど。

そごで、とどどがが、馬吊るして殺した桑の木で、娘っこの面っこど、馬の頭っ

こ、こしゃぇで(こしらえて)祀ったのが、オシラサマなんだど。

オシラサマずうものは、養蚕の神様でもあれば、目の神様でもあれば、おなご

(女)の病気の神様でもあれば、まだ、オシラサマのある家(え)さ、良い事(ご

ど)あればある、悪い事(ごど)あればあるってお知らせする、お知らせの神様

でもあるんだどさ。

どんどはれぇ。

 

 遠野では、語りべのおばあさんが民話を話してくれる観光施設があります。

又、旧家では今もオシラサマが祀られているそうです。

上の 方言は、同じ南部訛りでも盛岡弁とは微妙に違いがあります。

別の機会に遠野民話を津軽弁で・・・・・・というとんでもないこと考えています。

 では皆様  メリー・クリスマス!!(記事に似合わないなあ^^)

  

 

 

 

 

 

 


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コメント 22

おお~~、いづばん! お座敷サンタさんのプレゼント、ありがとう!
いいですね~、遠野の方言。有名な語り部の人がいましたね。聴きに行きたい思いながら、実現できずにおります。耳からだけだと都会の人は100%理解するのは難しいですね。
馬の生皮ば剥ぐどごはちょっと引くけど、「おしらさま信仰」というのがこれで分かりました。
釜から湯気が上がって、管理もちゃんとしてるんだえね~~。
・・・って? 津軽弁って? それは大変! だもわがねね。
by (2005-12-24 11:56) 

古民家って独特の形があっていいですよねwその土地その土地の生き方がつまっててw
by (2005-12-24 13:30) 

たまご

いいなぁ、おはなし大好きでした。
昔、NHKラジオの「おはなしでてこい】という番組、
風邪ひいて学校休んだ日には毎日聞いてたなぁ~
by たまご (2005-12-24 15:21) 

風の又三郎

こぎんさんへ
曲り家は昨日いってきたのす。さみくてさみくて、昔の人だず、我慢強がったんだなぁって、感心したのす。火の気は囲炉裏ど、釜だげだすもな。
津軽弁は、書ぐけど、こぎんさんの厳しいチェックがおっかね(怖い)な。
たのすみにすててけろ。

ふじかわさんへ
同じ南部でも、県南では形状が違うのです。
まさに、土地土地での暮らしの違いでしょうね。

たまごさんへ
ん~~~わだしゃ聞いたことありませんです。
小学校の頃は、紙芝居の読み手をよくやらされました。
紙芝居っても、今のこどもにゃ、わがんねべなぁ^^
by 風の又三郎 (2005-12-24 16:23) 

hanamiya-okinawa2005

おばあさんの語りで昔話いいですね。ホントに体験して見たくなりました。
古民家でお話が聞けたら最高だなぁ♪
by hanamiya-okinawa2005 (2005-12-24 19:09) 

サンタが来ても違和感なさそうな雰囲気です。
by (2005-12-24 20:34) 

Silvermac

Violamacです。
オシラサマのお話、ありがとうございました。
外は大雪なのに暖かい囲炉裏端でお話を聞いたような気持ちになりました。写真が雰囲気を盛り上げてくれました。
by Silvermac (2005-12-24 21:26) 

タックン

オシラサマには こういう民話が起源だったんですね。
白いお蚕さまのひんやりとした手触りを覚えています。
お蚕部屋も 今思えば民話の世界でした。
by タックン (2005-12-25 06:54) 

缶

子供の頃からこういう民話を聞くと、なんかビクビクしちゃいます^^;根本的に怖がりなんでしょうね。紙芝居の読み手をしてたんだ!だから、引き込まれる感じがあるんだな。納得しました^^
by 缶 (2005-12-25 09:48) 

風の又三郎

はなさんへ
文章だとなんとなくわかるような気がしますが、耳から聞くと理解できないかも?です。  

tanaka-ma3さんへ
その光景を想像して・・・思わずニヤリとしてしまいました。
やはり、ここには座敷わらししか、似合いませんね^^

Violamacさんへ
そちらも雪が降ったようですね、もう溶けたのでしょうか?
この日は寒くて、当時の暮らしを考えたら・・・現代はやっぱりいいですね。

タックンさんへ
やはり各地にこのような民話が残されているようですね。
詠むと面白いものですが、やはり聞いてみたいものです。

缶ちゃんへ
民話では結構残酷な話も多いですよね。
昔は、おばあちゃんが囲炉裏でわらし達に語り聞かせてたんだね。
by 風の又三郎 (2005-12-25 12:13) 

メリークリスマス
標準語も併記してほしい・・・(笑)
by (2005-12-25 15:10) 

こんばんは。
さすがにこの方言は分からないですね。
話の筋は分かりますが・・・
古い農家の内部でしょうか・・?磨き抜かれている。^^
by (2005-12-25 20:50) 

tomozo_booo_0529

方言だと、なお切なさが・・
たまごさんの「おはなしでてこい」知ってます!
小学校の時、給食の時間に流れてました。
私も大好きでした。
♪でーてこい!でーてこいでーてこい!(ドンドコドン)
てな感じで始まります(笑)
最後から3枚目の写真、今でも誰かが住んでそうな雰囲気です。
最後の写真はとても素敵です。クリスマスって感じしますよ。
by tomozo_booo_0529 (2005-12-25 21:17) 

りちこ

メリークリスマス☆彡
その地方の民話を方言で聞くのも楽しそう~♪でも分からなさそう~(汗)
囲炉裏を囲んで、暖まりたいですね。
by りちこ (2005-12-25 21:31) 

風の又三郎

マリャックさんへ
そうしたかったのですが、記事の量が倍になるので、単語の不明と思われるものだけに解説入れましたが、それでもわかりませんでしたか?反省><。

mimimomoさんへ
なんとなく感じはわかってもらえました?
曲り家は岩手を代表する古民家ですよ^^

ともぞうさんへ
「おはなしでてこい」はすごく昔の話なのだと勝手に思ってました。
違ったのね・・・><; 楽しそうな番組だったのですね。
どんな話が流れていたのかな?

りちこさんへ
沖縄の言葉もちんぷんかんぷんなのだ^^
同時通訳が必要ですね。
by 風の又三郎 (2005-12-25 22:04) 

kanon

遅ればせながら・・・メリー・クリスマス♪
そちらでも珍しいくらいの雪なんですね~。
神戸も雪だったようです。 ← 出張でいなかった
雪には慣れてないので大変です。
語りべのおばあさんが話してくれる民話・・・
なんだかいいですね。囲炉裏を囲んでとかもいいな!
by kanon (2005-12-26 01:09) 

野うさぎ

語りべ、一度聞いてみたいと、思ってます。楽しいでしょうね
ちょっと、可哀想な話だけど、親孝行した話なんですね。
楽しかった。ありがとう
by 野うさぎ (2005-12-26 01:15) 

nonosday

人の温もりを感いるお写真になっていますね。
オシラサマ悲しいお話ですが、亡くなっても親孝行する
娘さんの優しさって見習なければいけないですね。
方言は、小さいこのから耳にしないと微妙なニュアンスが
わからないのかな、なはん。
懲りずにすみみません…^^;;
by nonosday (2005-12-26 01:53) 

ホニャ

どうだろう、、、、直に聞いた方がわかんないもんだろうか、、、?
余計 わかんないだろうねぇ 
by ホニャ (2005-12-26 16:06) 

koza

最後の「メリクリ」にやられてしまいました。
by koza (2005-12-28 20:42) 

mamire

こんばんは。
こぎんさんは、座敷わらしっこさんと、流暢に話せるのね・・・・
私は、読んだだけではまったく分かりませんでした。
だけど、語りべさんが話してくれたら、分かる気がします。
蚕を育てるのが案外好きです。
白くてぷにょぷにょしていて、なでているときもちいい。
小さい桑の木の葉が丸々なくなるまで食べてしまいます。
あんな小さな体のどこに消えるのでしょう。
by mamire (2005-12-28 23:05) 

風の又三郎

コメント遅れました、すみません。
Kanonさんへ
昔は囲炉裏を囲んで、家族団らんしていたのでしょうね。
家は寒かったでしょうが、今の家族よりは、ずっと暖かい気がする。

野うさぎさんへ
親不孝して、親孝行した?ことになるのかな?^^
民話には、結構残酷な話が多いですよね。

nonoさんへ
また微妙に使い方が違ってる・・・・(笑)
方言は文字で見るより、聞いたほうが断然面白いですよね。

ホニャさんへ
聞いたほうが、話の筋はわかり易いかも。
私は津軽弁が好きなのですが、聞いていても楽しいというか、面白いというか・・・最高の方言だと思ってますけど。

こざきさんへ
やった~~^^  すごい違和感でしょ^^
この時代にゃクリスマスもへったぐれもないよねえ^^

mamireさんへ
こぎんさんはルーツがあっちの方向だからねえ。
蚕と関連があるのですか? 私も触ってみたいな^^そのぷにょぷにょを^^
 
by 風の又三郎 (2005-12-30 10:47) 

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